前駆体法の原料となる無機ポリマーです。形態制御セラミックスの原料として利用できるように、任意に分子設計され、一般的に有機溶媒に可溶で、熱可塑性を有します。用途により、最適の分子設計が必要です。詳細は、先端技術コンテンツカタログからご覧いただけます。
ポリカルボシラン
ポリカルボシラン(PCS:Polycarbosilane)はセラミックス繊維であるSiC繊維の前駆体として有名です。すでに工業化され日本カーボン(株)、宇部興産(株)から販売されています。
弊社ではSiC繊維開発初期からその原料としてのPCSの基礎的研究から応用研究にいたる技術情報やノウハウを所有しています。現在、それらを開示するとともに、さらに高性能、高機能セラミックスに供するために改良、改質したPCSの提供を行います。
例えば、先進PIP法で高性能SiC/SiC複合材料のマトリックス用や、SiCナノ粒子製造用など、次世代PCSとして超高分子量PCSの供給が可能です。これは、日本カーボンが供給するPCS Type UHより高分子量であり、不融性でPCSの理論セラミック収率(84%)に近いセラミック収率のPCSを提供できます。
ポリオルガノボロシラザン
ポリオルガノボロシラザンは、熱分解により、大気中1700℃でも優れた耐酸化性を示す非晶質SiNBCセラミックスの前駆体です。PIP法により作成した炭素繊維強化SiNBCセラミックス基複合材料は,1200℃まで酸化されず1500℃でも85%の炭素繊維が残留します。
ポリオルガノボロシラザンは加水分解しやすく取り扱いには注意が必要ですが,原料選択の任意性とトルエンなどの有機溶媒に溶解した溶液で利用できることから,耐熱コーティングや,SIC/SiC複合材料用SiC繊維の湿式法によるインターフェイズの形成など,さまざまな機能発現も期待できます。
ポリメタロキサン
ポリメタロキサンは、ゾル-ゲル法により酸化物系セラミックスを合成する場合に用いられる代表的な前駆体です。基本的な構造はM-O結合で鎖状構造が形成されていると考えられます。
実際には不明な点が多い反面,形態制御セラミックス製造のうえではキーマテリアルとして位置づけられるほど重要であり、金属アルコキシドなどを出発物質として、用途に応じた分子設計がされたものとして供給されます。
ポリボロシロキサン
標準的なポリボロシロキサンは,ホウ酸とジクロロジフェニルシランあるいはジフェニルシランジオールとの反応によって得られ、炭素繊維強化複合材料のマトリックスとしての用途に代表されるように、セラミックスの前駆体として有用な無機高分子で、メタロキサンの一種とも考えられます。
通常はB/Siが1/3ですが、任意に変えることができます。また,ジフェニルシロキサンをフェニルシロキサンあるいはヒドロキノンに一部変換することも可能で、粘度や耐加水分解性,セラミック収率などを大きく変えることも可能です。